コロナ状態での日系企業のサプライチェーンについて
コロナ状態での日系企業のサプライチェーンについて
2022年春、上海での感染拡大という厳しい状況の中、日系企業も例外なく在宅勤務を余儀なくされ、各社前例のない対応におわれることとなりました。特にサプライチェーン(購買、ロジスティクス、検査、輸出入など)の混乱は顕著でした。
中智日本企業倶楽部 シニアアカウントマネージャー陳亮が業界の専門家である亞東盛(サプライチェーン管理会社)のゼネラルマネージャーである鄭興平氏にインタビューし、日系企業の輸出入ビジネスの問題解決について伺いました。
鄭興平氏
2005年に国営企業の亞東グループに勤務。同年、子会社である上海亞東盛輸出入有限公司に加わり、2009年には同社のゼネラルマネージャーとなる。上海交通大学MBAを修了。虹口区産業商工連盟(商工会議所)副会長、上海輸出入協会副会長を務める。
上海亞東盛輸出入有限公司は、国営企業をルーツにもつ亞東国際貨運グループの子会社です。弊社はサプライチェーン管理会社として、国際ビジネス、品質管理、コンサルティング、調達、財務、パッケージング、製品販売チャネル支援、ロジスティクス、国際貿易、保険、環境保護、法務などの多岐にわたるサービスをお客様に提供しています。そしてコロナ禍においても日本のお客様へ安定したサービスを提供しつづけ、サプライチェーン運営に貢献しました。
今回のロックダウンにより、輸出入事業および国内輸送が大きな影響を受けました。
まず、ほとんどの日系企業は太倉、昆山、無錫などの上海周辺地域に生産拠点を設けており、上海ロックダウンによる工場閉鎖はありませんでした。しかしながら主要部品や原材料の多くは、海外から上海港や近隣の港を経由して輸入されています。そのため輸送や生産などの円滑なサプライチェーンを維持する方法が最大の課題となりました。
多くの日系メーカーは中国で大きな市場シェアを持っており、製品のコアコンポーネントの一部は日本から輸入され中国国内で組み立てられています。4、5月の流行期間中は、通関への影響を最小限にするべく、弊社の税関業務スタッフ2名を外高橋税関に常駐させ対応しました。
その際、特に商品の種類が多いときには、税関の管理・検査が行われることが多く、通関手続きを円滑にすすめるため都度税関職員と協力し数量計算、説明、整理、消毒を実施しました。同時に、業界における独自のネットワークと地域における優位性を最大限に活用し、通行証付きの輸送トラックを配備し、上海港から指定された生産拠点への輸送を可能にすることによって、お客様の生産プロセスに貢献することができました。
2022年4月 上海税関で作業に従事する亞東盛の従業員
東南アジアに生産拠点を持つ日系企業の場合、原材料の一部は中国で購入されベトナムやタイの工場に送られます。しかし、購入する原材料の種類はとても多く、数量も不確かであるため、決済、倉庫管理、QC、梱包、LCL、通関の過程で全面的なサポートが必要となります。そこで、ロックダウン期間中は上海港の輸出効率が非常に低くなってしまったこともあり、グループの各支店に原材料業者付近の港に一時的に倉庫管理システムを設置するよう要請しました。結果、お客様は自社の出荷基準に沿って原材料を出荷でき、海外生産拠点が正常に機能できるよう、輸出プロセスに貢献することができました。
コロナ禍で企業はどのようにしてビジネスの持続可能な発展を確保できるでしょうか?今回、上海亞東盛进出口有限公司の紹介をもって、大規模な製造業と、サプライチェーン専門家の親身なサービスは切り離すことはできないことを学びました。エピデミック後、企業の業務が正常化し、サプライチェーンが強化されることを期待しています。
インタビュアー所感
特殊な時期にあって、物流の重要性を再認識しました。
物流は人体の血管のように、様々な方法やルートを使い大切な資材を目的地まで届けるという役目を担っています。そして企業が抱える悩み(供給できない、生産できない)に最適なソリューションを提供し解決します。今回のインタビューを経て、将来はパッケージソリューションモデル(商品調達+検品+物流+輸出入+国際決済)はより多くの関心を企業から集めることになるだろう、と確信しました。
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